「2024年1月、その女性のミトコンドリアDNAの鑑定結果をボールダー警察に送りました。しかし、送る前に、誰のミトコンドリアDNAなのか名前は伏せておきました。DNA提供者を守った方がいいと考えたからです。しかし、数週間後、ボールダー警察から、誰のミトコンドリアDNAなのかと問い合わせが来たので、女性の名前を明かしました」 クラーク氏は、これまで様々な調査結果をボールダー警察に送っていたが、初めて、ボールダー警察の方から問い合わせてきたわけである。彼らも、ようやく、クラーク氏の調査に興味を持ったのかもしれない。しかし、クラーク氏は、その後、不可解な死に遭遇したという。
不可解な死について、クラーク氏とともに調査を行っているデレク・ブロンメリッチ氏はこう話す。 「2024年4月のこと、我々が重要参考人と考えている孫息子と孫娘の弟にあたる人物が亡くなったのです。デンバー警察の報告書によると、その弟はフェンタニル入りのコカインの服用により死亡していました。しかし、死亡解剖をした検視官の報告書によると、メタンフェタミンというドラッグの過剰摂取による死亡と診断されています。警察の報告書と検死官の報告書が食い違うのはおかしい。 その弟がジョンベネ殺害に関わっているとは思いませんが、兄や姉にあたる孫息子と孫娘が繋がっていたドラッグ・カルテルについて知っていた可能性はあります。そのドラッグ・カルテルは、ジョンベネ殺害事件よりも前から、警察に守られていた可能性もあります。だから、その死は奇妙に感じられるのです」
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クラーク氏は警察がラムジー家で押収した証拠物の中から、新たに、キッチンのテーブルの上に置かれていたアイスティー入りのグラスとゴミ箱に捨てられていたというティーバッグにも着目した。それはペパーミントティーのティーバッグだった。同氏がラムジー氏にそのティーバッグについてきくと、ラムジー氏は家族の誰もペパーミントティーは飲んでいなかったと話したという。ティーを愛好していたというパッツィーも、通常、ティーバッグは使わず、ステンレス性のフィルターにティーリーフを入れて作り、グラスではなくティーカップに入れてホットで飲んでいたというのだ。また、氷を入れているアイスボックスは空になっていたという。つまり、誰かが、ペパーミントティーのティーバッグとアイスボックスの氷を使ってアイスティーを作ったと推測される。 それは、誰なのか? クラーク氏はラムジー家に侵入してジョンベネを殺害した人物ではないかと推理している。同氏は、ジョンベネの胃袋から見つかったパイナップルは缶入りのパイナップルではなくフレッシュなパイナップルで、それは、ドラッグ・パーティーで提供されたパイナップルケーキに入っていたものではないかと推理しているが、アメリカでクリスマスシーズンによく飲まれるペパーミントティーのティーバッグもそのドラッグ・パーティーで提供されていたものではないかと考えている。
また、この事件では、犯人が残した身代金要求の脅迫状が重要な証拠物となっているが、クラーク氏によると、オリジナルの脅迫状はダメになったという。 「最初の検査では、脅迫状にパウダーをふって指紋が検出されましたが、それは脅迫状を手にした警官の指紋でした。2回目の指紋検査では、脅迫状はニンヒドリンという液体入りのトレイに入れられました。しかし、脅迫状の文字は分析官が席を外している間に、溶出してしまったのです。脅迫状はニンヒドリンにより溶出するシャーピーの水性ペンで書かれていたからです。犯人は、分析官が脅迫状をニンヒドリン入りのトレイに入れて検査すること、そして、それにより脅迫状がダメになることが分かっていたのでしょう。実際、脅迫状にはこんな一文があります。“警察の対抗措置とタクティクスはわかっている”と。犯人は、自分は警察より頭がいいと示したかったのかもしれません」
文春オンライン
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