井上咲楽 撮影/荻原大志
数多くの情報番組やバラエティ番組で活躍する井上咲楽。「笑顔で明るくいつも元気」なイメージの彼女が、人知れず抱えてきた「ブレイクまでの苦悩」や「自己肯定感の低さ」、「不安」や「生きづらさ」について赤裸々に綴ったエッセイ『じんせい手帖』(徳間書店)が11月に発売された。今回、その本の中から、『新婚さんいらっしゃい!』出演で変わった結婚観・恋愛観について触れた部分を特別編集版でお届けする。(全5回の1回目)
【写真】幼少期→バレー部時代→高校生、写真で振り返る井上咲楽の半生
* * *
<忘れられない恋愛>
20歳前後の時、めちゃくちゃ好きだけど、向上心の部分で確実に合わない人と付き合ったことがある。お互いに自己肯定感が低く、自己評価が高いタイプ。なにかとぶつかるし、ケンカしても何も解決しないし、でも好きだからなかなか別れられなくて大変だった。それぞれ大事していることがあって、頑張っている。相手に才能があるのを認めているのに、その才能に嫉妬してしまう。どちらかが小さくても何か成果を出すと妬ましく思えてしまって、悔しさもあって一緒に喜べない。だから、私に新しい仕事が舞い込んできても言いづらかった。言ったらきっと「よかったじゃん」と返してくれるけど、本心はそう思ってないんだろうなと疑わしく見えてしまう。そのうち仕事にも響いてしまうような場面も出てきて、共倒れしちゃうような関係性だった。友だちからは「もうやめときなよ」と言われ、頭ではその通りだよなとわかるんだけど、それでも好きだったのだ。この恋愛を経験してから、好きなタイプが変わった。向こうから来てくれる穏やかな人。でも、心のどこかではもう1回くらいめちゃめちゃ好きなロックな人と付き合ってみたいとも思っている。いつきからは「またあれになるのに?」と言われているけど。