【番組司会】山口豊(テレビ朝日アナウンサー) 八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー) 【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】岸部 一徳(俳優)
グループサウンズ「ザ・タイガース」のベーシストとしてデビュー。 現在は俳優として活躍する岸部一徳さんに
劇場版でファイナルを迎える「ドクターX」について伺いました。
<岸部一徳さんにとっての「ドクターX」とは?>
仕事としては楽しい仕事です。 若いころの仕事と、この年齢になって12年続いた仕事はちょっと意味が違います。 いい作品・いい方に出会えたと思います。
― 映画で締めくくることについて
映画で終われることは幸せなこと。 多分、米倉涼子さんが「大門未知子」を終わらせるならば「最後は映画で終わりたい」という考えがあったのだと思います。 12年続いて、視聴率もよかったのでやめる決断をするのは大変だったと思いますが、
次に進むためにはとてもいいことだと思います。
― 映画の台本を読んだときの感想 こんな風に終わるんだな…というのが最初の感想でした。 結局僕にとって、この映画の中で「大門未知子」にとって「晶」が一番大事な人になれたかどうか。
僕が大事な人になれてたとしたら、幸せなことです。
<「神原 晶」のキャラクターはどうやって生まれたんですか?>
脚本家や演出、プロデューサーがこんなキャラクターでいこうというのが基本にはあるんです。 「大門未知子」と「晶」の関係というのはすべて書かれているわけではないので、自分流の言葉づかいであったり、どうやって距離感を縮めるか離れるか。 その辺を自分でおもしろく考えたりしました。
― 軽やかにステップを踏むのはアドリブですか?
あれは演出家に「スキップとかできますか?」と言われて
「子どものころやったことあります。」と答えたところから始まりました。
― 岸部さんが築き上げた延長線で、できあがった役柄となりますか? そうつながっているなら幸せなことだと思います。 「晶」のキャラクターへたどり着いたという意味では、俳優人生もおもしろいなと思います。 実人生はいろいろあるにしても「ドクターX」に関わっている時間は、幸せな時間だったかもわからないです。 次のシリーズ、その次のシリーズと重ねていって、何かが少しずつ進んでいった気がします。 米倉涼子さんだから、そうできたのかもしれませんが、彼女には感謝です。 僕は人と接するとか、親しくなってどうのこうのというのはちょっと苦手な方なんです。 そのへんのところを米倉さんがよくわかってくれて。 12年かけてと言ったら変ですけど。 ドラマの収録3カ月以外の期間も「未知子と晶」の関係をずっと続けてきました。 それが2人の表現につながってきたのだと思います。 撮影以外も連絡したり、ご飯を食べたりしていました。 その時も米倉さんとか一徳さんではなくて、「未知子」「晶さん」と言いながら、関係性を大事にしてきました。 3カ月撮影で9カ月は別の仕事で「ドクターX」から離れています。 9カ月「ドクターX」をやって3カ月休みのように、逆にならないかと思ったときもありました。 日常が「ドクターX」に感じるぐらい居心地の良い、
やりがいのある楽しいドラマでした。
<映画を撮り終えて思うことは?>
これで終わるという実感はないですけど医療ドラマなので、観ている方たちに対して責任があるような気がします。 こんな先生がいたら、自分の難病を治してくれるのではないか。 僕の親戚の子にいましたが、飛びついてこのドラマを観ていました。 やっぱり「こんな先生がいてくれたらなぁ」の思いが強いんです。 おもしろいだけではなく医療というものを考えたときに、映画版で「医療の未来」に託した部分があると思うんです。 移植手術をするとき、現状では「未知子」でもできない。 でも、この先に克服できるかもしれないという点を残したというのが、
素晴らしいなと思いました。
<「城之内 博美」役を演じた内田 有紀さんからメッセージ>
― 岸部さんはどんな人? いつでも心配してくれて、いつでも励ましてくれる。 本当に心の広くて大きい方です。 (スタッフ) 岸部さんとのシーンで記憶に残っていることは? テレビシリーズで「城之内先生」と「晶さん」は2人きりのシーンがわずかです。 ですが2人きりのシーンが映画で1シーンありました。 そのときの気持ちは、米倉涼子ちゃんや私自身が「大門 未知子」や「城之内 博美」を飛び越えた気持ちなっていました。 12年間支えてきてくれた一徳さんへの感謝の思いがあふれており、一徳さんとの2人きりのシーンに、 12年間の感謝すべてをそそいで演じました。 これもひとえに一徳さんが私たちを、愛して守ってくれた時間があるからです。
― 岸部さんへメッセージ
一徳さんのブレないその姿勢、いつまでもその背中を追いかけてついて行きます。
これからもよろしくお願いします。
<内田 有紀さんへ>
ありがとうございます。 最後2人だけのシーンがあるんですが、彼女は親戚の子どもみたいな感じがあります。 米倉さんとは違う見方をしていて、心配ではないですが、この世界で40代をどう過ごしていくのか少し気になったりする。 時々そんな話をします。
― 内田 有紀さんのいいところは?
素直なところ。 技を追求しないというか、気持ちが自分の中でどう生まれるかを大事にしています。 そこがいいところかもわからないです。 技術を使って見せるとか、そんな感じはないです。
― 2人のシーンはどう記憶に残っていますか?
僕が寝ているそばで彼女は1人で演じるのですが、どんな風に芝居をするのか心配していました。 それは彼女も言っていた、「城之内」という役を越えた、 ミックスされた感じの芝居でした。 「大門 未知子」がいるときの「城之内」とは違う自分しかいない状況で、目の前に「晶さん」がいるところでの感情の生まれかたが良かったなと思います。 米倉さんの感情の表現とは、またちょっと違うところが良かったです。
いいシーンでした。
<「大門 未知子」役を演じた米倉 涼子さんからメッセージ>
― 岸部さんはどんな人? いまだに つかみきれない 深さがある色気のある“男”です。 (スタッフ) 岸部さんとのシーンで記憶に残っていることは? 「晶さん」とのシーンはどれも思い出深くて、楽しくて心躍るシーンがたくさんありました。 1つを伝えるのはとても難しいです。 たこ焼きを“あ~ん”しながら2人で笑い合う、腹の底からの本気で笑いながら芝居しているシーン。 自分を忘れながら追いかけっこするシーンは思い出深いです。 ですが、今回の「劇場版ドクターX FINAL」は私はずっと寂しかったです。
― 岸部さんへメッセージ
「晶さーん 未知子です。」 いつも いつも 12年間支えてくださって本当にありがとうございます。
そして これからも新しい形で、ぜひ よろしくお願いします!
<米倉 涼子さんへ>
あんな風に言ってもらって本当にうれしいです。 娘よりも近い感じもあるし、不思議な感覚です。 女優の米倉さんを見てると、僕が彼女に対する評価を持ってるんですが、彼女は自信を持たないタイプなんです。 「これで本当に大丈夫なんだろうか、演じきれているだろうか」という心配するとか、自信のない…。 あえて言ってるわけではなく、本当に自信を持てない。 自信を持たないで、次また頑張ろうというのがすごくいいところです。
しかし、劇場版を越えたところで言えば、自信をもってもいいように思います。僕は。
これからはテレビだけに限らず、映画の世界にも出向いていかなければいけない。 テレビの世界をある意味「別のカタチ」で引っ張れるようなものがあるのかもしれない。 それが何がいいのか、ちょっと思いつかないんですけど。 何かそういう役割みたいなものを彼女は、可能性として持っているんじゃないかな。 それは、俳優同士っていうところをちょっと離れた感想にもなるんですけど。 そのためには「ドクターX」が生涯の代表作で終わってはいけない。 もっと先にもっと代表作が出てくる可能性もあるわけで。
そんな風に思います。