下手投げ100km…巨人Jr.キャプテンは「変幻自在」 難関選考を潜り抜けた“週3の習慣”

巨人ジュニア主将を務める木村心大くん「いろんなフォームで相手を翻弄する」

“逸材小学生”に選ばれたことで満足してはいけない。かつて守護神として活躍した元プロ監督が目指すのは、「中学・高校以降も活躍できる選手」の育成だ。今月26日から神宮球場とベルーナドームを舞台に開催される、「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」で10年ぶりの優勝を目指す読売ジャイアンツジュニアの西村健太朗監督は、「ジュニアでの経験がプラスになってくれればうれしい」と語る。チームをまとめる主将にも意気込みを聞いた。

昨年準優勝に輝いたチームは大会前の練習試合も連戦連勝と前評判が高かった。今年は、昨年ほど「体の大きい子はいない」ながらも個性的な16人がそろう。西村監督は「一発で仕留めるよりも、つないで1点を奪いに行く。守備からリズムを作り、粘って勝利をもぎ取るチーム」と評する。

選手たちは練習や試合の合間にもコーチ陣の指導に熱心に耳を傾け、教わったことを野球ノートに記す。小学生の段階で一流の考えを学べるのは大きな経験だ。「感じたことを書くことは今後の財産になる」と指揮官は認めつつ、「教えられた中でも、自分でいいと感じたことは継続すればいい。合う・合わないは当然あること。取捨選択も大事」ともアドバイスする。

そんなノートを片手に選手ミーティングの中心となっているのが、主将を務める木村心大(しんた)選手(6年=船橋フェニックス)だ。「ミーティングでは練習や試合でやるべきことをできていたか、どうすれば上手くいくか、しっかり振り返って『次は心がけてやってみよう』と。みんながわかりやすく、戸惑わないようなチームづくりを心がけています」と明快に語ってくれた。

ポジションは三塁と投手を務めるが、選考会ではどのような強みをアピールしたのか。守備範囲の広さ、走者を確実に進塁させるバッティング、そして、「いろんなフォームで相手を翻弄するピッチング」だという。

右のオーバースローを基本に、時に腕の角度を変えたり、トルネードをしたり、アンダースローで投げたり……。昨年巨人ジュニア入りした自チームの先輩、両投げの原悠翔投手(現巨人U15)を参考に、変幻自在に打者のタイミングを外す投法を編み出したという。「最速は上から投げて109キロ、下からで100キロ。うまくいかないこともあるけれど、90%の確率でうまく打ち取れます」と自信を見せる。

試合の流れに対応できる準備の仕方も「今後に生きてくる」

自在なピッチングを実現するためにも、トレーニングは欠かせない。パーソナルトレーニングにも通うなど、週に3回、体幹トレ、腹筋・背筋、スクワットなどで体を鍛え、リズム体操にも励む。

巨人ジュニアのセレクションはコーディネーション種目を導入しているのが特徴だが、「普段、リズム体操をやっているのは(選考通過に)活かせたと思う」と木村くん。「今年こそ決勝で勝って、2014年以来の優勝を絶対にしたいです」と意気込みを示した。

目標はもちろん16チームの頂点だが、子どもたちの野球人生は始まったばかり。西村監督ら首脳陣は、約4か月の限られた活動期間の中で次のステージも見据えた指導を施してきた。「複雑なサインプレーをやるのが初めての子もいるでしょうし、自チームではレギュラーでも、ジュニアでは途中出場になる子もいる。そんな時の準備の仕方も今後に生きてくると思う」と指揮官。「『ジュニアに入って良かった』と思える経験をしてほしい」と選手たちにエールを送った。

(高橋幸司 / Koji Takahashi)

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