俳優・本木雅弘が主演し、倉本聰氏が脚本を務める映画「海の沈黙」(公開中、若松節朗監督)が、オランダ・ロッテルダムで開催される「第54回ロッテルダム国際映画祭」(25年1月30日~2月9日)に正式出品されることが23日、発表された。
今年各国で注目を集めた作品で構成される「Limelight」部門に出品が決定。同部門は近年、「海よりもまだ深く」(16年、是枝裕和監督)、「ドライブ・マイ・カー」(21年、濱口竜介監督)、「Blue Giant」(23年、立川譲監督)など国内外で高く評価された話題作が出品されている。
主演の本木は、「ロッテルダム国際映画祭への出品を大変うれしく思います。画家役というだけで烏滸(おこ)がましいですが、それぞれに劇的で、光を操り、美を追求したオランダの三大画家、フェルメール、レンブラント、ゴッホを生んだ、彼の地で上映される機会を想像するだけで心が震えます」などと喜びのコメントを寄せた。
本作は、孤高の天才画家・津山竜次(本木)の知られざる過去と愛を描く。倉本氏が「海へ~See you~」(1988年公開、蔵原惟繕監督)以来、約36年ぶりに映画脚本を担当。本木と小泉今日子、中井貴一、石坂浩二、仲村トオルらが共演していることでも注目を集めている。
◆倉本氏コメント
60余年前日本の美術界をゆるがす大事件があった。鎌倉時代の名作といはれ国の重要文化財に指定されていた古い壷が、実は現代の作家のものと判り、文化財指定をとり消されたのである。権威づけが消えると美の価値も変るのか。これは一生を賭してその理不尽に挑んだ一人の贋作者の斗いの物語である。
◆若松監督コメント
人類共通の価値基準は、(真.善.美)です。この三つの概念の中で美だけは絶対的なものだと倉本聰さんは映画のテーマにしました。ルーブル美術館で観たミロのビーナスやモナリザは確かに美しかった。そして感動した。この感覚は誰しもが持つもので世界中の人々を惹きつけて止まないだろうと思う。美しいものは誰に対しても美しく揺るぎないものだと考える。美と言うものの永遠性.絶対性を縦糸に人間の愛情を絡ませて紡いだ織物の様な映画が出来たと思います。
この美しい映画を世界中の人達に観て頂けたらとても幸せです。最後に、ロッテルダム国際映画祭にご招待下さり有り難うございました。
◆本木コメント
ロッテルダム国際映画祭への出品を大変嬉しく思います。画家役というだけで烏滸(おこ)がましいですが、それぞれに劇的で、光を操り、美を追求したオランダの三大画家、フェルメール、レンブラント、ゴッホを生んだ、彼の地で上映される機会を想像するだけで心が震えます。若松監督の挑戦、倉本さん特有の語り口と日本のエキゾチズムに新鮮な奥行きを感じていただけたらと期待しております。