積雪した福岡市内の住宅地(10日午前、福岡市中央区で)=秋月正樹撮影
冬型の気圧配置が強まったことで、九州北部や山口県では10日午前、積雪や路面凍結などにより大きな影響が出た。一部では路線バスが始発から運行見合わせになるなど公共交通機関がまひしたほか、雪が原因とみられる事故が相次ぎ、学校が休校となる地域もあった。
博多駅のタクシー乗り場に行列
雪が積もった歩道を歩く人たち(10日午前、福岡市・天神で)=足立浩史撮影
「始発より運行見合わせ中」。10日朝、福岡市のJR博多駅前にある西日本鉄道のバス停の電光掲示板はこう表示されていた。訪れた人たちはすぐにその場を立ち去り、タクシー乗り場には行列ができていた。
普段は博多駅から西鉄バスを利用して通勤しているという同市博多区の会社員(46)は「早めに家を出て、電車は動いていたので博多駅までは来たが、ここからはタクシーしか方法がない。会社に間に合えばいいんですが……」と不安げな表情を見せた。
積雪の中を大人に付き添われて登校する児童たち(10日午前、福岡市城南区で)=中山浩次撮影
西日本鉄道は10日、福岡地区で路線バスを全線で、北九州地区では一部を除き始発から運行を見合わせた。北九州市交通局の市営バスや山口県内の路線バスでも同様の対応がとられた。
福岡北九州高速道路公社は福岡都市高速の全線を、西日本高速道路は福岡、佐賀両県などの高速道路の一部を通行止めにした。北九州空港では出発する便に最大で25分程度の遅れが出た。
九州最大の繁華街、福岡市・天神でも買い物客や外国人旅行客らが、氷の張った道路を慎重に横断する様子が見られた。博多区の十日恵比須神社で行われている「正月大祭」に向かう途中だった福岡県小郡市の農家(71)は「歩道がツルツル滑ってこけそうになった」と話していた。
踏切で車と列車が接触…けが人なし
各地で事故も起きた。佐賀県警によると、雪でスリップした車が中央分離帯に衝突したり、縁石に乗り上げたりする事故が相次ぎ、9日朝から10日朝にかけて人身事故が7件、物件事故が69件発生し、負傷者が7人出た。
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雪の影響で横転したとみられるトラック(10日午前、福岡市博多区で)=木佐貫冬星撮影
福岡県警博多署によると、10日午前4時20分頃、福岡市博多区の国道3号の交差点で、「4トントラックが横転した」と110番があった。スリップしたとみられ、運転手にけがはなかった。
また、10日午前7時50分頃には、北九州市若松区のJR若松線若松―藤ノ木駅間の踏切で、若松発折尾行き下り普通列車(2両編成)と普通乗用車が接触。けが人はなかった。福岡県警若松署によると、車が踏切前で停車する際に雪の影響でスリップして踏切内に進入し、車の前方が踏切を通過する列車の側面と接触したとみられる。
北九州市によると、9日夕方から10日朝までに6人が屋外で転倒してけがを負った。雪や強風の影響で転倒した可能性があり、いずれも軽傷とみられる。
北九州市立学校202校が一斉休校
雪化粧した旧伊藤伝右衛門邸(10日午前、福岡県飯塚市で)
北九州市教育委員会は10日、小中高校など市立学校202校の一斉休校を決めた。市教委の担当者は「児童生徒らの安全確保を優先した」と話した。福岡市教委によると、一部の市立小中学校では、各校の判断で休校や登校時間の繰り下げを行い、特別支援学校は全て休校となった。