時事通信 政治部2024年08月17日04時35分配信
自民党の茂木敏充幹事長との会談を終えた麻生太郎副総裁(左)=14日、東京都港区
9月の自民党総裁選を巡り、麻生太郎副総裁が「勝ち馬」探しに苦慮している。麻生派の河野太郎デジタル相が出馬に意欲を示し、良好な関係を築く茂木敏充幹事長も支援を期待。ただ、いずれも世論や党内の支持が勢いを欠き、派内の一本化は困難な情勢だ。長らく権力の中枢に立ち続ける麻生氏だが、総裁選の結果次第で求心力が揺らぐ可能性もある。
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岸田文雄首相が退陣表明した14日夜、麻生、茂木両氏は東京都内のステーキ店で2時間余り会談した。茂木氏の狙いは、麻生氏の支持取り付けだったが、退店時の表情はこわばり、肩すかしに終わったことを印象付けた。
自民の主要派閥が、裏金事件を受けて相次ぎ解消を決める中、麻生派だけは存続。その派内では、河野氏が総裁選に向けて中堅らと勉強会を重ねる。麻生氏もこの動きを無視できず、親しいベテランに「うちには河野がいるからな」と述べるなど、自派閥の「ポスト岸田」候補と位置付ける。
一方で、派内には「異端児」と称される河野氏の言動に対する警戒感も根強い。甘利明前幹事長らは半ば公然と二階派の小林鷹之前経済安全保障担当相の出馬を後押し。麻生派の鈴木俊一財務相を推す声も一部であり、内実は一枚岩とはほど遠い。
同派若手は「河野氏でまとまるのもハードルが高いのに、他派閥の茂木氏を全面支援するなど困難だ」と言い切った。
2012年に自民党が政権復帰して以降、麻生氏は安倍、菅両政権で副総理兼財務相、岸田政権で副総裁と要職を担い続けた。21年の前回総裁選では、岸田、河野両氏に「二股」を掛ける形で、派閥の亀裂回避と政権への影響力確保の両立を図った。
しかし、裏金事件を受けて「刷新感」が重視される今回、河野、茂木両氏とも現時点で待望論は盛り上がっていない。麻生氏に対しても「古い自民党の象徴に映りかねない」(政府関係者)と指摘する向きがある。
「麻生氏が今後も『政権のど真ん中』に居続けることができるのか」。同派中堅はこう焦りをにじませた。
最終更新:2024年08月17日04時35分