今オフのFA市場で一際注目を集めた阪神の大山悠輔(時事通信フォト)
今オフのFA市場で一際注目を集めたのが、阪神の大山悠輔だった。巨人が獲得を目指し、実現すれば、阪神と巨人というライバル球団の間で史上初のFA移籍となるだけに、議論は沸騰した。結果として、来季も引き続き縦縞のユニホームを纏うことになったわけだが、移籍が実現していたらどうなっていたか。
本誌・週刊ポストの12月16日発売号では、江本孟紀氏(77)、中畑清氏(70)、達川光男氏(69)が日本球界について辛口で語り合う名物企画「ENT座談会」を掲載。現場でも当然ながら、大山のFAの話題で盛り上がりを見せた。達川氏の「大山を獲っていたら、巨人で何番目のバッターだと思います?」という問いかけから話が展開していった。
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達川:巨人打線だと今は岡本(和真)が一番良い打者ですね。丸(佳浩)はちょっと衰えた。吉川(尚輝)がいるので、大山は岡本、吉川の次ぐらいじゃないですか。大城(卓三)とどっちがよく打ちますかね。
中畑:大城となら大山のほうが打つとは思うが、大城がちゃんとやったらオレは大城のほうが打つと思うよ。
江本:ちゃんとというのは何なんですか(笑)。
中畑:起用法も含めてだよ。大城を1人のバッターとして1年間使い続けるっていう安心感を与えたら、だいぶ結果を残せると思うよ。キャッチャーとかファーストとか、下手すれば外野まで守らせるって話になっているじゃない。
達川:大山を獲っていたらポジションが足りなかった。大山か坂本を外野に回さないといけなかった。どこで大山を守らせるつもりだったんですかね。
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北海道日本ハムファイターズ新庄剛志・監督(時事通信フォト)
大城を外野に回すのは「無理」!?
〈今季の巨人は、サードは坂本勇人か岡本、ファーストは大城か岡本が守ることが多かった。大城がマスクを被らずファーストを守る時は、岡本が外野に回ることもあった。阪神ではファーストのスタメンを張っている大山が巨人に移籍していた場合、ポジションは“飽和状態”になっていたのではないか――〉
中畑:岡本も坂本もゴールデン・グラブ賞だからね。サード(坂本)とファースト(岡本)を動かすわけにはいかない。大山は外野だっただろうね。
達川:大山と岡本、どっちのほうが外野はうまいかということになる。
中畑:どっちもどっちでしょう。大山のほうが慣れているんじゃない。
江本:大山に外野を守らせるくらいなら、大城を外野に持っていったほうがいいと思う。
達川:それは無理ですよ。あれぐらい足が遅いヤツはおらんですよ。
中畑:達ちゃんが足の話はできないでしょう(笑)。
達川:(ムッとして)外野としてですよ。
中畑:DeNAの佐野(恵太)がいい見本だけど、足の遅い選手が一生懸命走ったらさ、そこそこ絵にはなるんだよ。手抜きに見えるようなプレーしたらたまったもんじゃないけど、全力疾走する。遅いなりに全力プレーしたら、外野はなんとかなるさ。
達川:ラミちゃん(アレックス・ラミレス)とどっちが守れると思いますか。
中畑:ラミちゃんと比較するかぁ。
達川:ラミちゃんの守備でも、あれだけ打てばいいですけどね。
中畑:あれって守備といわないだろう(笑)。