殺されなかった男たち|石井妙子「ウェンカムイ 死刑囚・木嶋佳苗の生痕」第17回 | 週刊文春 電子版

婚活サイトで木嶋と知り合った男性の中には命を奪われずに済んだ被害者もいた。しかし、獲物を見定めた木嶋の犯行は精妙。不思議かつ大胆な手口で金を吸い上げている。

2008年5月に木嶋は婚活マッチングサイトに登録し、次々と4人の男性に接近した。田端輝夫と相川幸三(いずれも仮名)は殺されてしまったが、殺されなかった男性2人は、それぞれ法廷で自分の身に何が起こったかを語っている。

長野県に暮らす望月道雄(仮名、当時49歳)は2008年8月にマッチングサイトを通じて木嶋からアプローチされた。

〈プロフィールを拝見して心に留まるものがあったので連絡しました……。今は女子栄養大学の大学院博士課程で、学費や施設費を来月十日までに支払えないと除籍になってしまいます。金銭的な支援も相手に望むところです〉

学費を9月10日までに入金しなくてはならない。金額は、七、八十万円だという内容だった。

望月は8月31日に長野から上京して木嶋に会い、池袋のデパートで食事をした。

「想像したより太っていると思いましたが人柄は悪くないかと」

初回登録は初月300円で

この続きが読めます。

有料会員になると、全ての記事が読み放題

コメント機能も使えます

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

source : 週刊文春 2024年12月12日号

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *