江戸の版元・蔦屋重三郎を紹介 藤澤浮世絵館 ゆかりの作品など

足立朋子

喜多川歌麿が挿絵を描いた蔦屋版の「古湊道中記」=藤澤浮世絵館提供

1月5日に始まるNHK大河ドラマ「べらぼう」の主人公・蔦屋重三郎(1750~97)をとりあげた企画展「藤沢と江戸の出版事情~蔦屋重三郎と絵師たち~」が、神奈川県藤沢市の辻堂駅近くの藤澤浮世絵館で開かれている。喜多川歌麿東洲斎写楽らを世に送り出し、江戸後期の民衆文化を花開かせた蔦屋ゆかりの作品などを紹介している。

同館は市の施設で、江の島や宿場町として栄えた東海道五十三次の藤沢宿など、江戸時代から昭和初期にかけて描かれた藤沢関連の浮世絵や版画などを収集、展示している。

江戸・吉原に生まれた蔦屋と藤沢に直接の関わりはないが、所蔵品の中には蔦屋が版元として出版した黄表紙や浮世絵もある。また、江の島や小栗判官など藤沢ゆかりの題材が庶民の間で人気を集め、江戸の出版文化に波及していたことも紹介する。

注目は1784(天明4年)に出版された蔦屋版「古湊(こみなと)道中記」。江戸から小湊(現在の千葉県鴨川市)の寺に向かう道中記で、挿絵を歌麿が描いている。

今回、同館が調べたところ、「歌麿」の雅号を使い始めた直後のもので、近年展示された記録のない希少なものとわかった。

学芸員の益田亮助さんによると、後の浮世絵の大家も、最初は挿絵を描いて見いだされることが多かったという。

このほか、蔦屋が一大ブームを起こした狂歌絵本の挿絵として評判を呼び、後に一枚絵として販売された葛飾北斎の「江島春望」もある。

2月24日まで。入場無料。原則月曜休館。5日と2月1日には学芸員の解説もある。午前11時からと午後3時からの2回で先着30人。問い合わせは同館(0466・33・0111)。

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足立朋子

湘南支局長

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