2024年12月26日 6:11
25日、日本政府は中国人に対する短期滞在ビザの要件を「緩和する」と発表しました。日本の観光収入も増えると見込まれますが、外国人観光客の増加による弊害も心配されています。 ◇
25日、観光地の東京・浅草は、大勢の外国人観光客で混み合っていました。
中国人観光客「1月3日まで旅行します。予算はないです。気のままに使いたいです。買いたいものは買います」中国人観光客「銀座でたくさん買い物をしました。予算は決めてません。好きなものがあれば買っちゃいます」こうした中、外務省が発表したのが、中国人に対する短期滞在ビザの発給要件の緩和。さらに3年間有効の観光ビザについて、取得後3か月以内に日本入国を求めるルールを撤廃します。また、団体観光ビザは、滞在可能日数を15日以内から30日以内に延長。ビザ緩和に対しては…中国人観光客「ビザ緩和はいいことだと思います」
「(緩和した後)たくさんの中国人が来ると思います」
中国から訪れる人の数は、今年すでに去年の2倍以上となっていますが、コロナ禍前で最多だった2019年にはまだ遠く届いていません。ただ、中国人を含む今年日本を訪れた外国人全体では、11月までで3300万人を超え、最も多かった2019年を上回り、過去最多を更新しました。
日本政府は、中国人へのビザ要件を緩和することで、観光収入のさらなる増加も期待していますが、今、観光客の急増によって日本各地で問題となっているのが、観光地に客が殺到して地元住民などの生活に支障が出る、オーバーツーリズムです。
山梨・富士河口湖町でも「コンビニと富士山」という一見、ミスマッチな組み合わせを撮影するために、大勢の外国人観光客が。道路を横断するなど、マナー違反が問題となっています。今年5月には路上に集まる人を減らすため、目隠し用の「黒幕」が設置され、いったんは沈静化。しかし、幕が撤去されると、再び危険な横断が相次ぎました。このことから、先週、町はコンビニ側の歩道に新たな柵を設置しましたが、根本的な解決には至っていません。 ◇さらに、隣の富士吉田市の公園にも大勢の外国人が。そのお目当ては、五重塔と雪化粧した富士山です。日本ならではの風景を楽しもうと展望デッキは観光客であふれ、紅葉シーズンは身動きできないほどに。スペインからの観光客「素晴らしい景色でした。富士山も美しかったです。今日は天気も良くて、キレイに見えました。100枚ぐらい写真を撮りました」
しかし、問題も…。公園周辺は狭い道が多く、時間を問わず、慢性的な渋滞が発生。レンタカー同士の交通事故が起きることも。
地元の人は…地元住民「やっぱり悪影響もあります。朝の通勤の時間や帰りの時間帯、車が混んだりしたりとか、普段の生活に影響を及ぼすことは多々あります」観光地・京都でも…藤枝望音記者(読売テレビ、今年10月)「清水寺に向かう道なんですが、あいにくの雨の中、観光バスがずらっと並んで大渋滞が起きています」
観光名所の清水寺周辺では観光バスやタクシー、自家用車が列を作り大渋滞が発生。さらに狭い路地でも、車が歩行者スレスレを通り、危険な状態になっていました。
そして…記者(神奈川・鎌倉市)「SLAM DUNKのユニホームを着て撮影しています」アニメ「スラムダンク」に描かれた江ノ島電鉄・鎌倉高校前の踏切にも外国人の姿が。警察によると、鎌倉高校前駅周辺での通報が急増。観光客の多さによる混雑や、駐車などの苦情がほとんどだといいます。鎌倉市は警備員を増員するなどしていましたが、さらに今月から防犯カメラを設置し、24時間態勢で周辺を録画するなどしています。 ◇政府が観光収入の増加を目指す中、オーバーツーリズムの解決策とは? インバウンド需要に詳しい専門家は…インバウンドに詳しい 渋谷和宏氏
「一つは『地方分散』です」
そのために必要だというのが…インバウンドに詳しい 渋谷和宏氏「キーワードとして『アンダーツーリズム』という言葉があります。これは、これまで観光客からあまり注目されてこなかった穴場スポットや、知られざる観光スポットに観光客を誘う意味合いで使われる。それが非常に重要になってくると思います」
(12月25日放送『news zero』より)
最終更新日:2024年12月26日 6:11