神戸・武藤嘉紀が30歳を超えて改めた生活 「そうなったらうれしい」チーム最多13得点“MVP級”活躍で2冠貢献 – スポーツ報知

◆明治安田J1リーグ▽最終節 神戸3―0湘南(8日・ノエビアスタジアム神戸)

首位の神戸が3―0で湘南を下し、リーグ2連覇を達成した。前半26分にFW宮代大聖(24)が先制すると、同43分に元日本代表MF武藤嘉紀(32)が勝負を決める2点目。武藤は今季、チーム最多13得点を挙げるなど“MVP級”の活躍で、天皇杯との2冠に貢献した。優勝の可能性を残していた2位・広島はG大阪に1―3、3位・町田も鹿島に1―3で敗れた。

終了の笛が鳴ると、武藤の目から涙があふれた。「本当に幸せ。この喜びは計り知れない。気合で乗り切った一年。全てが報われた」。チームをけん引してきた今季、大一番でも貫禄を示した。1点リードの前半43分、佐々木のパスを左足で流し込み貴重な追加点。雄たけびを上げてチームメートと抱き合った。14年に並ぶ自己最多タイ、今季チーム最多13得点。7アシストも記録しており、自身初のMVPも有力視され「そうなったらうれしい」。何度も優勝を逃す悪夢にうなされたことを明かし、「1年間お酒をほぼ飲まなかったが、今日はみんなとたらふく飲んで、ぐっすり眠りたい」と笑みを浮かべた。

紆余(うよ)曲折のサッカー人生を「ベストな道だった」と胸を張る。「プロで食べていく自信がなかった」とFC東京下部組織から慶大に進学。3年時に退部してプロの世界に飛び込んだ。日本代表にも選出されドイツなど海外でもプレー。周囲から順風満帆に見られるが、けがに苦しめられた。負傷離脱すれば定位置争いに敗れるため、痛みを我慢しピッチに立った。「ストレッチをおろそかにしていた。幼かった」。結果、膝のじん帯を断裂、周囲の筋肉は硬くなった。

苦境から脱するため、30歳を超えると生活を改めた。酒はほぼ飲まず、練習後の自主トレ、寝る前は1時間のストレッチを行う。「痛みとか恐怖はある。正直怖い」が、今年9月からは、はり治療も取り入れた。全ては、充実したサッカー人生を送るためだ。

神戸との契約は今年で最終年。クラブは残留を打診しているが、浦和も獲得に動いている。「サッカーに集中していて、話は進めなかった。何が自分にベストか。一回落ち着いてゆっくり考えていきたい」と武藤。「こんな幸せな3年半はなかった」と、この日は去就問題を忘れ、仲間とのビールかけを心から楽しんだ。(森脇 瑠香)

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